生きるための経済講座

 宝くじを買いますか?

 私は結構真剣(?)に買い続けていたのですが、ここ2年は買っていません。全く買うのをやめました。
はっきり言って、「買っても当たらない」からです。

 宝くじに当たった人で事業に成功した人や、そのあと幸福に暮らしている人を知っていますか?っていうか、1等当選者が周囲にいますか?
  宝くじで大金を当てた人というのがよくニュースに出ていますが、気になるのはその人のその後です。
  よく聞くのは、往々にして宝くじで大金を当てた人というのはその後不幸な目にあう、と言われます。というのも、見たこともない大金を手にして、舞い上がってしまい、まともな使い方ができないからです。
  大金を元手に事業をはじめても上手く行かず、借り入れを増やしてしまい、却って宝くじを当てる以前よりも貧しくなってしまうことも珍しくもないようです。
  自分のを使って得たお金ではないので、使い方を真剣に考えずに散財してしまうのです。

  公営ギャンブルの中で宝くじはもっともラクなギャンブルです。
  ただ買うだでいいのですから。
  競馬や競輪、パチンコには眉をひそめる大人も宝くじなら買っている、と言う人は多いです。つまり誰しも「ラクして儲けたい!」のです。学校の先生も、警察官も、どこの親も、みんな本心では「ラクして大金持ちになりたい」欲望を持っていから、宝くじがあんなに売れる、という訳です。

 一方、公営ギャンブルの中で、宝くじはもっとも還元率の低い商品です。競馬、競輪は70%ほどのなかで、宝くじは45%ほど。では、その内訳がどうなっているのか試算してみましょう。

 宝くじの場合、3,000円(ジャンボ宝くじ10枚購入の場合)を買って、当たりが保証されているのはわずか300円。1割です。残りの2,700円は当選者へ渡るのかというと、そう簡単でもありません。内訳は大体次のようになります。

宝くじ3000円分(10枚)の行方

金額
使用目的・行く先
1,200円
地方自治体 県など地方自治体のふところに入る
1,060円
自分以外の当選者 3億円当たる人へ行くお金
230円
手数料  
120円
印刷経費・宣伝料 所ジョージのギャラはここから
90円
宝くじ協会への助成金  
300円
自分 最低保証分

 毎年発売されるジャンボ宝くじのうち、夏と冬に30枚ずつ買ったとして、18,000円。そうすると、次のような金額になります。

金額
使用目的・行く先
7,200円
地方自治体
6,360円
自分以外の当選者
1,380円
手数料
720円
印刷経費・宣伝料
540円
宝くじ協会への助成金
1,800円
自分

それを、もう10年続けている人は。

72,000円(を市町村に寄付して)←これを「国家が愚か者に課した税金」と呼ぶ人もいます。
63,600円(を他の当選者に差し上げ)
13,800円(の手数料を支払い)続けている計算になります。

 私たちは普段から市、県民税を払っています。しかし、宝くじ買うことでさらに自治体に寄付をさせられている訳です。いやー…ウマイこと考えてますね!

 宝くじなんてギャンブルだから、という人は別にいいのです。でも、宝くじに当たることを真剣に、切に願っている人がいるとしたら、大切な生活費までつぎ込んでいたとしたら、これは不幸なことです。
  宝くじを金融商品と考えてみましょう

 金融商品には     投入したお金(元本)+利益

  を求めるのが普通です。誰だって損をしたくないですから、せめて元金くらいはキープしたいと思います。だから普通は貯金などをします。貯金なら少なくとも元本割れは起きないですからね。宝くじが金融商品とすると次のような特徴になります。


特徴
備考
・元本のうち1割を完全保証  
・買うだけでいい 簡単ですね!
・運用は約1ヶ月 実際には運用しません
・購入枚数に制限はありません。売り場もあちこちにあります。 好みで売り場を選ぶことができます
・500万分の1の確立で2億円が当たります。 ちなみに500万枚購入には10億必要です

 まともな人ならこんな金融商品はまず購入しないでしょう。しかし、現実にこれを金融商品のようなつもりで買う人もいます。宝くじは毎回完売に近いヒット商品なのです。
 「いつか宝くじが当たったら…!」と毎年考えることによって、資産やお金について真剣に考えることを放棄していませんか?宝くじは考えること放棄した人への税金とも言えるのです。

宝くじもまた「お金持ちになりたい」欲望を利用した国ぐるみの商売なのです。

 

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