生きるための経済講座

 男は細いウェストが好きです。

 ぽっちゃり系が好きと言う人もウェストは細いほうがいいと言います。夫に聞いても「そりゃそっちのが好きなんだからしょうがない」のだそうです。

 若い女性がキレイになりたい、痩せたい、と思うのは当然のこと。なにしろ、見た目の美しさを演出できるのは若いうちに限られているのです。(じゃあ、若さをすぎたらどうするかって?それは経験と中身が外にちゃんと現れてくるんですよ。コワイですねー。)

 キレイになるためにはなにかとお金がかかります。化粧品、エステ、下着、ダイエット。女は男には見えないところにお金をかけます。「あたし、脱いだらスゴイんです。」というCMが昔あったように、影の努力が女の美しさを支えています。これは女にとっての密かな楽しみであり、自己陶酔です。

 なかでも、体の問題は顔に次いで大問題です。最終的に男に見せるものですから、ここでガッカリされたくありません。まさに「脱いでもスゴイ!」と思わせたいのです。キレイになるために努力するのはいいことです。メリハリのあるボディを作るためにトレーニングジムに通ったり、ボクササイズをやったりする場合にはキレイになりたいという欲求プラスアルファが含まれてきます。肉体と精神の両方が養われます。時間とお金を費やさなくてはいけないし、努力も必要です。

 もうひとつ、お金だけを費やす方法があります。それはエステで脂肪を吸引してもらったり、矯正のための下着を購入するのです。

 これだと通うだけだったり、買って着用するだけで済みます。そのかわり、相当の財を投入しなくてはいけません。
 例えば、矯正下着というのは下着で脂肪を動かすシステムです。脂肪というものは移動するので、おなかやわき腹、背中からぐぐぐーっと寄せてくると、バストのサイズがAカップがCカップになったりするわけです。これはホントの話。

 矯正下着はガチガチに固めてぐぐぐーっと寄せてきた脂肪が流れないようにするものなのです。これらはセットで買うと大体20万円を超えます。セットというのは、ブラジャー、ガードル、ボディスーツとかウェストニッパーとかです。(これらの言葉が分からない人は自分で調べてくださいね。)単品で買っているうちにセットでの購入を勧められるのです。もちろんいきなりは買えません。


 ローンを組むのです。

 例をあげましょう。


買うもの 矯正下着のセット
価格 230,000円
購入方法 3年ローン
月々の支払い額 8000円

 

これは断っておきますが、正確な金額ではありません。(ほぼ正確だと思いますが)ここでは「利息」について考えてみます。
まず、8000円という金額です。これはなにもローンを抱えていない人なら「払えなくもない額」です。ここがミソ。8000円を3年払うということは



8000×36ヶ月=288000円

ハイ、ここで既に価格の230000を大幅に上回っています。

288000円−230000円=58000円


 この58000円が「利息です。58000円を年利に計算してみます。58000円を3年で割ると、1年が19333円230000円の利息としては8.4%となります。それほど高いとも思えません。しかし、8000円の12ヶ月分=96000円のうち利息が19333円というと20%ということになります。こうなると結構高い利息に思えます。利息の計算方法はいろいろあって、住宅ローンなどは特に、気をつけないと最終的には価格の倍くらいの利息を払うことにもなってしまいます。

 さて、ここで問題。

 矯正下着の目的はなんでしょう。

  美しいプロポーションをつくること、です。
3年のローンが払い終わらないうちにサイズが変わってしまうかもしれません。いえ、むしろ変わらなければ矯正下着の意味をなさないのです。すると、新たなサイズのセットを購入しなければならない、ということが起こってきます。
  払い終わらないうちにまた、新
たなローンを組まなくてはいけないのです。すると、月々の支払いはもう使わなくなった下着の支払いと新しく購入したものとを払っていかなくてはならないのです。じゃあ、それからさらに、またサイズが変わったらどうでしょう…。

最初の購入から同じ条件で2回買いなおしたとしましょう。


1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
96000
96000
96000
96000
96000
96000
96000
96000
96000
96000
192000
288000
192000
96000

2年目は月々16000円の支払い、3年目は24000円の支払いになってしまいます。トータルでは864000円となります。下着にかけ
るお金としてはかなり破格と言えましょう。車1台が買える値段です。

仮にフィットネスジムに月8000円で通うとするなら5年で480000円。前出の864000円と比べると384000円の差があります。しかも経験値付き。脂肪美ではなく、筋肉美なので長続きもします。
  384000円もあれば、外国の超セクシーな下着もたっぷり買えます。男性はガチガチの下着よりもセクシーなほうが好きに決まっていますから、(個人差はあるとしても)そちらのほうがより楽しめると言えましょう。

  フィットネスなどに通うjことなく、自宅での地道なエクササイズをすれば、それこそタダです。そうすれば、864000円でなにが出来るでしょう。英会話にだって行けるでしょうし、なにか資格を取ることだって出来ます。海外にも行けます。

「矯正下着を買うな」とは言っていません。大事なのはそれを分かっているのと、いないのとでは天と地の差があるということです。

 私がいうのは大げさな話かもしれません。しかし、これは基本的なことだと思っています。1回目に書いたように消費者金融のCMが蔓延する中でも、私は消費者金融に罪があるとは思っていません。こんな罠は人生の中で山とあるのです。
 最近はそのCMが害を及ぼすということで自粛が求められましたが、子供はそんなバカではありません。一度見たものは相当な印象で脳裏に刻印されてしまいjます。隠すのではなく、上手く説明してあげることが大事です。大切なのは

「それを理解しているのか」

と、言うことです。理解していれば、大金を借りて長い年数かけて返すこともないでしょう。仮に借りなくてはいけない事情が起こったとしても、上手く対処できるでしょう。

  おやおや、脱線してしまいました。
  そういうことで、美しくなるには努力してお金をかけない方法と、努力せずしてお金をかける方法の2種類があるのです。いえ、努力せずにお金だけかかられるのなら、それも悪くないでしょう。お金があるなら。
 しかし、お金もないクセに、お金をかけて、死ぬほどアルバイトをしなくてはいけないのなら、それはお金もかけてなおかつ身をすり減らして得るものになるでしょう

ご意見、ご感想、ご質問等お待ちしています
yuki@emelon.net