生きるための経済講座

 消費者金融でお金を借りたことはありますか?

 仮にあったとしても、「ハイ!」と手を挙げる人はいないでしょう。いくら「くーちゃん」が出ているからって、そういう所でお金を借りるのは、今だに後ろめたいものがあるからです。

一体どんな人が借りているのでしょう。まずは、消費者金融の利用状況を見てみましょう。
消費者金融協会が発行している「タパルス白書」に利用者の年齢があります。



新規顧客の年代別 (%)

 

自働契約機

有人店舗
全体
20代
51.2
36.7
45.6

30代

22.3

20.4
21.6
40代
14.6
17.3
15.7
50代
9.8
17.2
12.7
60代以上
2.1
8.4
4.5

 

ここで面白いのは、若い人自働契約機を利用し、年配になるほど有人の店舗を利用しているという点です。しかし、全体でいうと、20代が全体の45%と、圧倒的です。20代の若者はこの業界とっては優良顧客となっています。そうすると、あのテレビCMが誰をターゲットにしたものかは明白です。


・ アイフルはくーちゃんと飼い主のお父さんが出演


・ アコムはかわいいお姉さん風

・ プロミスは ミュージカル風

・ キャッシュワン国民的人気のカトちゃん

・ 武富士は意味不明のダンスが強烈な印象

・ モビットは実力派熟年俳優で信頼感を演出

・ ほのぼのレイクはコント風

 
 どれも親しみがあって、 印象にのこるCMですよね!そしてターゲットは若者!消費者金融のCMは戦略としては素晴らしい成功を収めています。

・必ず耳にのこるフレーズ
・ターゲットがはっきりしている
・確実に消費者金融のイメージアップに繋がっている

 うちの子供も「アコム」「アイフル」「プロミス」「キャッシュワン」の歌、どれも口ずさむことができます。第2世代のターゲットさえ育成しているのです! 消費者金融会社がCMにかけているお金は相当なものです。テレビだけではありません。

 6月20日(金)の中日新聞には

・アイフル(テレビ欄)
・Qローン
・プロミス
・キャッシュワン(共にスポーツ欄)

 都合4社が広告を出しています。これが23日(日)だとどうでしょう。

・アイフル (スポーツ)
・プロミス
・アイク
・ディック
・武富士
・モビット
・キャッシュワン
(以上求人欄)

 以上7社が広告を出しています。ついでの言うと、スポーツ紙はさらに多いこと間違いなしです。ついでにヤミ金融もいっぱいあるでしょう。カッコ内は広告が載っている欄です。求人欄ってところがニクイですよね。平日だと、株式欄にも結構あったりします。

 23日というと、まさに給料前。当たり前ですが、実に素晴らしいマーケティングです。なるほど、給料日前の新聞には他にも「米兵」とかの質屋さんの広告も多いしです。(何故かかつらの広告も多い)

 では、 これら消費者金融やクレジットの利息はどうなっているのでしょう。


 
利息についてシミュレーションしてみます。私が以前訳あって消費者金融の門をくぐったときには50万円を借りることができました。(当然すぐに全部返しました)人によっては30万かもしれません。今回は30万を借りたとして計算してみます。最初の返済の半分以上利息分で、元金返済に充てられる分はほんの少しです。これをずーっとくリ返していくと、徐々にそれが反転し、元金に充てられる金額が増えていきます。

 利息の合計は18万です。

では、それを月々3万円1年で返すとします。そうすると利息は40900円

 もし、消費者金融で借りることになったら、できる限り早く返すことです。
  こういうところは30万なら30万の枠の中ならいくらでも返しては借り、借りては返し、ということが出来るので、つい、枠いっぱいに借りてしまったりしますから注意が必要です。(窓口のお姉さんの営業もうまい!)もちろん、そんなことをしていたら、いつまで経っても利息ばかり返していて、元金がさっぱり減らない、といったことに陥り、返済のための借金をしてしまう危険性が出てきます。(←これが多重債務のはじまりです)
 
以前、矯正下着についても書きましたが、一体どれだけの人が利息について真剣に考えたことがあるでしょう。私たちが学んできた学校では利息の話など教えてもらいませんでしたから利息に対する認識が甘いのも仕方のないことです。

 消費者金融の利率がずば抜けているのは周知のとおりですが、こんなに高い金利なのにはもちろん訳があります。

 消費者金融は、銀行に行ってもお金を貸してもらえない人が行くところです。つまり、

・保証人がいない
・担保がない
・給料が安い

という人たちが行くのですが、今どき、上の条件を満たしていたって、日頃取引をしていたって今や銀行は絶対といっていいほどお金を貸してくれません。ですから突然お金が必要になった人は消費者金融に行くしかないのです。

 消費者金融会社としても、取引もない初めての人にお金を貸してくれるのです。踏み倒されるかもしれません。ハイリスクです。そういう面では、銀行よりも消費者金融会社のほうが勇気があってエライ!!
しかし、そのためには利息を高く設定しないとやっていけないのです。

 ここまで、消費者金融と書いてきましたが、実際には「キャッシュワン」「モビット」「Qローン」などは銀行系クレジット会社です。 銀行系クレジットは消費者金融より利息が少し安くなっています。最近では銀行もこのような部門を作り、比較的甘い審査で融資を行っています。利息は18%程度です

 また、消費者金融で借りたことのないひとでも、クレジットカードを持っている人なら、「キャッシング」をやってことがあるかもしれません。これは、消費者金融と違って、店舗に行かずに、暗証番号さえ入力すればATMから直接お金が出てきます。
  大抵の人は消費者金融に行く前にキャッシングをしています。手軽ですし、人に知られずお金を借りられるので、後ろめたさをあまり感じません。だいたい30万くらいは引き出せます
返済は月々カードから引き落としです。

 ところが、このキャッシングの利率が消費者金融並み、ということは意外に知られていません。25%くらい普通です。矯正下着、また、マルチ商法などで商品を購入するため、あるいは家のローンなどの返済に窮し、キャッシングをする人も多いでしょう。それで足りなければ消費者金融へ走ります。そしてその先はヤミ金融です。

 そうならないためにはどうすればいいのでしょう。答えは簡単です。「返せないものは借りない」ことです。「多分返せそう…」ではダメです。「バイトをすればなんとかなる」と言うのもいけません。

 最近は特に情報社会です。欲しいものも沢山出てきます。お金に対する正しい認識を持たないことには、なかなかそうした甘い罠から逃れることはできません。
 消費者金融会社が悪いのではありません。借金も商品です。利息という対価を払っています。純粋にお金を買うのです。つまり、さっきの利息の計算も48万を出して30万を買っているのです。あなただったら30万を得るために48万も出せますか?そんな金銭的な余裕ありますか?それを理解する必要があります。

 デジカメ携帯電話などを買うときには、画素数や機能をチェックするくせに、ことお金のこととなるとお粗末なのはどういうことでしょう。それは「お金のことを言うのははしたないこと」として、ろくに学んでこなかった社会のツケなのです。


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