生きるための経済講座

 サラリーマン法人が会社にとってもプラスになる、と言うことを前回書きました。

 社員でいることの利点の一つにボーナスがあります。この年2回のイベントを誰しも楽しみにしていますが、ボーナスの金額を決めるのが査定です。会社はその人物がどれだけ会社に貢献したかを計らなくてはなりません。これはなかなかやっかいな作業です。

 また、社員一人一人に対して「厚生年金」「社会保険」をそれぞれ半額負担しなくてはなりません。また、それに対する事務処理も必要になってきますし、社会保険事務所などにその手続きを委託もしなくてはなりません。

 社員一人に対する会社の負担は給料だけではないのです。

 さて、サラリーマン法人と言うからには、法人にならなくてはなりません。これは、この講座「6.有限会社の矛盾【合資会社】」というところに詳しく書いてありますが、初期投資が必要です。合資会社の場合、7万までで設立可能です。また、年間7万円の法人税も必要になってきます。とは言え、それだけの投資をしても見返りは大きいでしょう。

 次に会社との折衝です。その前に、会社が自分一人にかけている金額を知る必要があります。「それって天引き前の給料じゃないの?」と、思われるかもしれませんが、それだけではないことは最初に書きましたね。
 会社が社員にかけているお金は次のようなものになります。

 


  基本給
  各種手当て
  社会保険料(半額)
  厚生年金(半額)
その他保険など

  自分にかかる1ヶ月のお金

 

 これに12ヶ月をかけると一年分になります。

 そうそう、ボーナス(2回分)を忘れていました。これにボーナスをプラスしたものが会社が社員一人にかけているお金になります。

 つまり、一人の社員には給料以上のお金がかかっているのです。私が前回書いたサラリーマン法人の仕組みのところで、「天引前の金額+α」と書いたのは、そのことです。
  会社が負担している「社会保険」「厚生年金」は明細を見れば分かります。それと同じ金額を会社が支払っているのですから。昨年度のボーナスも分かっていますから、一度計算してみて下さい。(もちろん税引き前の金額ですよ)きっと愕然とするはずです。

 また、一度退職するのですから、会社との折衝によって、それまで勤めたことに対する退職金をもらうことも可能かもしれません。

 さて、自分一人にどれだけのお金がかかっているのかが分かりました。簡単に言って基本給以上の価値があります。

 問題は、これを提示して会社が「OK」と首を縦に振ってくれるかです。でも、安心して下さい。会社はそれだけのお金を既に自分にかけているのです。しかも、会社に損なことは何一つありません。今までに渡していたお金を国でなく自分自身にくれるというだけのことです。

 今ではベースアップやボーナスやと言っても、大企業でなければそれほど上がるものではありません。それなら、今を有意義に過ごすためのお金をもらい、それを生かした方がいくらか今の自分に役に立つのではないでしょうか。

 もちろん、もらいっぱなしというわけではありません。ここから「国民健康保険」「国民年金」「税金」を自分で払うのです。そして、今までよりもうんと安く済ますことが可能になってきます。

 あらかじめ税金を引かれる、ということは、「血税を払っている」という意識を希薄なのもにしてしまいます。サラリーマン法人になると、税に対する意識が高まり、工夫次第でその金額を減らせることができます。次回はどうしてサラリーマン法人が節税になるのかを説明します。


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